「FE風花雪月」評価、感想 心に残る名作、SRPGとしてはあと一歩

ニンテンドースイッチ「ファイアーエムブレム 風花雪月」の評価、感想記事です。

一言で大満足でした。
学園パートの存在など、これまでの作品とはゲームの進め方がガラリと変わりましたが、根っこは今まで通りのファイアーエムブレムでした。
シミュレーションRPGとしてはあと一歩だったものの、シリーズ内では最も思い出に残る作品かもしれません。

帝国、教会、同盟の順に3つのルートをプレイしましたが、主に教会ルートクリアまでの感想を書きます。
また、以下エンディングまでのネタバレを含みます。

プレイ時間

プレイ時間はざっくり以下でした。
帝国ルート:34時間
教会ルート:14時間(※)
同盟ルート:50時間

(※)帝国中盤にて分岐するルートで、そこのセーブデータより開始した

帝国、教会ルートはかけ足で、同盟ルートは比較的のんびりプレイしています。王国ルートは未プレイということもあり、全て遊ぼうとすると100時間は確実に超えますね。

ルートごとに仲間やシナリオが全く異なるため、別のルートをプレイしてもマンネリ感や飽きはほとんど感じませんでした。

過去作イチのキャラクターの掘り下げ

本作を語るならまずはここ。

キャラクターの描写はシリーズNo.1の素晴らしさでした。
そこに重要な役割を果たしているのがキャラクター間の支援会話で、質ボリュームともに文句無しの内容です。
皆それなりに暗い過去や背景があって支援会話で少しずつ明かされていくのですが、ここがとても丁寧に描かれていました。

FE覚醒では支援会話の使いまわしが気になりましたが(※)、本作ではどの組み合わせも全く別のテキストになっていて、とてつもないボリュームです。

(※)男性キャラが誰と結婚しようとも、その子供との会話はほぼ同じ内容になる

特に好きな支援会話は以下。
・エーデルガルト、ハンネマンのA
・ペトラ、シャミアのB
・セテス、フレンのA,B,C全て
・リシテア、ハンネマンのA

リシテアとハンネマンの支援会話Bでは気まずく終わるのですが、この状態だと食事会話も特別なものになります。ここまで作りこむんだ…と脱帽です。

学園モノということもあり、仲間が最初にほぼ全員集まってその後ほとんど増えないのはシリーズ内で異色でした。
過去作のように会話で寝返らせたりはできないという残念さはありますが、そのぶん戦闘前後の会話で全員がシナリオに絡んでくる面白さはありますね。

クリアまで30時間以上この子らと一緒にいたこともあり、最後は愛着がはんぱなかったです。

とはいえ最初にキャラクターがいっぱい登場して、かつ「フェルディナント」「ベルナデッタ」みたいに難しい名前も多いもんですから、名前を覚えるのに苦労しましたw
いやー5文字を超えると全然覚えられないですわ…w

シナリオ面の感想

全体としてとても良い出来でした。大満足です。

途中で分岐する帝国ルートと教会ルートで、敵が180度変わるのがすごいです。分岐する選択肢で「この選択で物語が大きく変わります」と出てきますが、まさにそれ。

帝国ルートをクリアしてから教会ルートをやると、今度はセテスやフレンを始め教会メンバーにとても愛着がわきます。
敵味方の区別はあれどそれは善悪ではないんだ、それぞれの勢力に譲れない信念や決意があって戦っているんだ、というのが別ルートをやることによって明らかになってきます。これ本当に良く作られていると思います。

ただ一方で、細かいテキストや演出がイマイチだったという不満もあります。
特に帝国ルートで顕著でした。第1部終盤~第2部序盤のかなり唐突な展開、特に「そこムービーで描写しないとダメだろ」という語られるだけの崖落下。そもそもの章数が少なく駆け足ぎみな第2部などなど…。帝国ルートの項で後述します。

容赦無しの第2部

特に第2部をプレイして強く感じたのが、「今回人の生死が容赦ねえ」でした。

「ゆうて同じ学園で過ごした生徒同士、倒しても死なずに撤退扱いだろー」と戦闘ボタンを押した数秒後、スローモーション、断末魔からの死にセリフ。「あ、死ぬんだ…」と。

追い討ちでボイス付きのこのセリフ、本当にキツかった・・・

第1部で他クラス含めて交流を深めてきたからこそ、第2部の容赦ない、救済なしの殺し合いがグサグサと胸に来ます。
どのルートであっても生徒全員は救えない、必ず誰かとは殺し合いをするとのこと。思い切ったことするなと驚く一方、だからこそプレイヤーの心に残るシナリオになったはず。名采配だと思います。

そしてその一方、敵を殺す側(プレイヤーが操作する側)の描写もされており、プレイヤーの心に追い討ちをかけてきます。
敵を殺すことについてキャラクターが逃げず、葛藤や覚悟、悲痛などの感情がしっかり描かれているんですね。

よく挙がりますが、ベルナデッタが戦闘に勝ったときの「また生き延びた…また殺した!」というセリフ、本作で最も心に残っています。これ書いたライターさんに最大限の賛辞を送りたいです。

第2部で生徒を殺せてしまうことにショックを受けたので、近づかないように、攻撃しないように進めてました。
とはいえ仲間にはならなかったため結局は自己満足でしかなかったんですが、そういう戦略ができる(※)のは制作側も狙っているのでしょう。こういうところもニクいですね。

(※)勝利条件が、敵全滅ではなくボス撃破になっている

帝国ルートep.14では、右側から進軍することでヒルダと戦わずにクリアが可能。リシテアは倒すと仲間にできるようなのですが、同じくスルーしてしまいました…

あとこれは「多分そうだろう」なのですが、生徒など仲間を倒した際にはレベルアップでのセリフが表示されない仕様な気がします。
「そんなこと言っている心理状態じゃない」的な。

帝国ルートのシナリオには不満が残る

とはいえ帝国ルートのシナリオについては、展開の雑さや第2部の駆け足感があってスッキリしませんでした。

炎帝が正体を明かす場面、一言で「雑」。
仮面を脱ぐなどの演出が全く無く、「私が炎帝」と突然の告白が始まって衝撃も何もありませんでした。

仮面キャラというのはプレイヤーに「こいつ誰なんだ…?」と想像やワクワク感を持たせるものであって、それを明かす際には仮面が割れる演出なりムービーなりが必須でしょう。それを唐突に明かしてしまうのは、仮面キャラの使い方に失敗したと言わざるをえません。

第1部ラストから第2部へと移行する展開も同様。
主人公が崖から落ちてしまいますが、このときムービーも何もなく「先生が崖から落ちた」というテキストのみで説明され、なんじゃそりゃと。

そして多少のナレーションが入り、「ちょうど5年」とつぶやくエーデルガルトと再開するまでわずか数分。
この展開を皮肉を込めて「唐突な5年」といった書き込みを見かけましたが、まさにその通り。

発売前の情報で2部構成と明かされていたため、「どうやって第1部が終わるんだろう」という期待やワクワク感が大きかっただけに、ここは非常に残念でした。

この辺、他のルートだと演出やムービーがあるのですが、なら帝国ルートでもしっかり入れてほしかったですね

第2部は第2部で、かなり駆け足なシナリオという不満がありました。第1部の全12章に比べて全6章と、単純に数が少ないんですよね(まあ1つ1つが濃いのですが)。

そのためか帝国ルートでは「闇に蠢く者」との戦いが描かれず、いわゆる「俺達の戦いはこれからだ」的なエンディングになってしまいました。シナリオ上重要な勢力なので、ここを省かれたのは非常にモヤっとした感覚が残ります。

教会ルートのシナリオには満足

一方、教会ルートは素晴らしいシナリオでした。帝国ルートと比べたときに、ルート単体で謎があまり残らないのが評価ポイント。
こちらでは闇に蠢く者とも決着がつくため、敵勢力が残らないという点でもスッキリした終わり方になります。

エーデルガルトやヒューベルトがいませんが、その分セテスが良いシナリオ進行役でした。セテスとフレンが幸せに終われてホッとした、というのがエンディングでの思いです。

結局、エーデルガルト側よりもセテスら教会側の方に感情移入や共感ができました。
ガルグ=マクの人らは大半が良い人でしたし、フェルディナントやローレンツなど貴族も世のため人のために頑張っていました。レア様も単なる「制裁!粛清!」という人物ではなかったですし、エーデルガルトに共感できる要素があまり無かったです。

全ルート共通ですが、エンディング前に表示される支援Sキャラの1枚絵、これがお世辞にも良いとは言えない出来で非常に残念。3Dモデリングとも顔アイコンとも全く異なるタッチで、違和感を超えて気持ち悪さすら感じました。
こういった1枚絵ってかなり諸刃の剣で、ゲームの評価を一段階上下させるほどの力を持ってるんですよね。

学園パートの感想

散策パートや個別指導など、学園パートの部分について。
良くも悪くもですがここが本作のメインだと思います。

この2人の組み合わせ好き

感想としては面白いんです。合唱や食事のセリフにキャラの性格が出ていたり、組み合わせによって特別なセリフになったりと、ここでもテキストの作りこみに圧倒されます。
お茶会もちょっと恥ずかしいですけど(リビングでプレイすると妻が隣にいるので…w)、選択肢を当てて大成功したときはめっちゃ嬉しいです。

ただ…、面倒くさいんですね。会話を見るために修道院内を走り回ったり、支援レベルを上げるために何度も食事をしたり。
行動にもよりますが、毎節3回ぐらいはこれを行うので作業感が強かったなと。

「なら学園パートをスキップしろ」という指摘もありますし、指定した日までバッサリとスキップする機能も確かにあります。
とはいえここを飛ばすとストーリーの理解度が大きく変わってしまいますので(※)、その指摘はちょっと違うというのが自分の考えです。ゲームシステムとしてもう少し短時間で済む工夫をしてほしかったです。

(※)少なくとも1周目では

シミュレーションRPGとしての感想

戦闘においてこれまでの作品と異なるのは、将棋のような「駒」を動かしていた感覚から、感情を持ったキャラクターを操作している感覚に変わったこと。どのキャラクターも丁寧に描かれているからこその変化だと思います。
また、敵の増援などによって勝利条件が頻繁に変わるのは、戦況が目まぐるしく変化しているのを表しているようで面白い仕様でした。

一方で、ゲーム全体におけるSRPG部分の比率の低さが不満点でした。
外伝もあるためマップ数という点でボリューム不足は感じませんが、学園パートが長いんですよね… SRPG部分ってゲーム全体の4~5割程度だったかな、という感覚です。

そのSRPG部分については、いつものFEで非常に楽しめました。
ただどの過去作よりもシステムが複雑で、2周目に入っても細かな仕様は把握できませんでした。例えば紋章の効果とか、武器の重さが力で相殺されるとか。

スキルについても同様で、このスキルはどうやったら覚えるのか、兵種マスターなのか武器レベルなのか個人スキルなのか…など最後まで覚えられず、かなり適当に進めていました。

難易度は低かったため、その程度の知識でも苦労せずクリアできたのはある意味幸いでした。とはいえもう少しシンプルなシステムに収めてほしかったところ。

一度にこんなに出されても覚えられんわーw

本作の目玉である魔獣戦も同様で、最初にシステムの説明が出てきたときに「何でこんな複雑なんだ、ワケわからん…w」というのが最初の感想でした。
個体によって弱点武器が異なることとか、混乱がどれだけ継続するかとか、全貌が把握できたのは2周目も終盤に入った辺りという。

とはいえゲームとして面白い敵でした。
HPゲージが複数本あるため、これまではボス含めて「めっちゃ強いキャラを1人送りこめばどうにかなる」だったのが、「みんなで協力しないと倒せない」ようになって戦略の幅が広がりました。

自分は時を止めたい…w

前作のエコーズにて初登場した時間巻き戻しシステム、「天刻の拍動」として本作でも使えました。
賛否両論あるでしょうが、自分としては遊びやすさを重視した良いシステムだと考えています。従来の「1手のミスで死亡、リセットしてやり直し」はヒリヒリした緊張感が心地よいものでしたが、それまでの時間が全てやり直しになるのは、まあやっぱりストレスでした。

しいて言えば使える回数がちょっと多すぎですね、半分ぐらいの回数が適切かと思います。

また、本作では主人公や級長がやられたときに使えるのが親切でした。エコーズでは主人公がやられると即ゲームオーバーだったため、「この強敵と戦いたいが、低確率でやられてしまう」ときに主人公以外のキャラを出すという、ちょっと変なことをする必要がありましたので。

本作での新要素として、敵が誰を狙っているかが表示されるようになりました。良い意味で「時代だなー」と思います。
2015年の記事ですが、社長が訊く『ファイアーエムブレムif』での開発者インタビューにて以下の発言があります。


岩田
カジュアルモードというのは
仲間が一度倒されても、次の面で
復活するモードですね。

樋口
はい。そのモードで
本編をなぞるだけでも、100パーセントの人が
エンディングを迎えられると思ったんです。
ところが、それでも最後まで
遊んでいただけない方がいらっしゃったんですね。


「カジュアルモードでも難しいと感じるプレイヤーさんがいる」という内容でして、FEって開発者が想定している以上にゲーム初心者には難しいゲームなんでしょうね。
ですので敵の行動範囲が表示できたり救済モード的なものができたりなど、初心者でもクリアできるような工夫がこれまでずっとされてきました。これもその1つなのでしょう。

ただし敵の行動範囲表示は無くてもプレイヤーで計算できますが、誰を狙うかはブラックボックスな要素です。そのためここまで表示するのはどうなのかという疑問はあります。
計略による魔獣の引き寄せがあるので、ゲームシステムに関わってくる要素ではありますが。

通れるマスはどこなんだ…

いやー、しかし、マップ見づらかったですねーw SRPGとしてここはもう少し調整してほしかったです。
どのマスが通れるのか、炎など地形ダメージを受けるマスはどこか、など見た目では判別が困難でした。

BGMの感想

安定のファイアーエムブレムでした、満足です。

戦闘マップのBGMはどれも好きですが、教会ルートの20章(シャンバラの戦い)が今までのFEにはあまり無かった雰囲気で特にお気に入り。
屋内のためキャラのボイスにエコーがかかるのも良い演出ですね。

曲名:シャンバラ ex-エリア107

UIやシステム面の感想

これだけの大ボリュームだからか、細かいところで作りが甘かったというのが率直な感想です。変に凝ったことをして裏目に出ている気がします。

まず最初に、カーソル移動のUIが悪かったという点。
戦闘準備の「ユニット選択」「身支度」などを選ぶ画面や、散策パートのマップ移動など。カーソル移動させたときに「頭の中でここに動いてほしい場所」と「実際に動く場所」がズレててストレスになります。

例えば上記画像では大広間を指してるんですが、ここから右、左とカーソル移動すると騎士の間、厩舎となって元の位置に戻らないんですよ。いやいやそのUIはおかしくないですか、とw

次に、キャラクターがとても多いからか、モーションの使いまわしが気になりました。
ペトラはクラスチェンジ時に高笑いのようなモーションをしますが、彼女の性格からはありえない仕草なんですよね。使いまわすにしても、もう少しパターンを増やしてほしかったです。

一方、会話においてテキスト送りをすると映像も瞬時に進む(キャラのモーションが次のものに進む)のは高評価。ボタンをポンポンと押してテンポ良く進められます。

また細かいところでは、セーブ中に次の操作が始められるのはグッドですね。せいぜい1,2秒程度でしょうけれど、こういう部分の積み重ねが快適さに繋がると思います。

まとめ

同盟ルート最後のムービーは素晴らしさで震えた

最初はシミュレーションRPGをやっているのかキャラゲーをやっているのか分からなくなりましたが、根っこは今まで通りのファイアーエムブレムでした。
帝国、教会、同盟ルートと周回プレイをすればするほど好きになっていった作品です。思い出に残る、という意味ではシリーズNo.1かもしれません。

次回作ではシミュレーションRPG部分の、ゲーム全体における比率を高めてくれることを期待します。

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